今回は、上安倉の『地車彫刻』を紹介しようと思います。
地車には様々な箇所に彫刻が施されていますが、何が彫られているかご存知ですか?
彫刻の種類はいろいろですが、大きく分けると『神話もの(説話もの)』『武者もの』『中国もの』『瑞獣(ずいじゅう)もの』があります。
安倉の地車は、二基とも彫り物地車のメインと言われる三枚板(※1)には、武者ものが彫刻されています。
武者ものには時代によって彫刻に制限があったといわれ、江戸時代に作られたものは徳川幕府の影響で『豊臣御法度(ごはっと)』などがあり、豊臣に関する彫刻は一切できなかったようですが、明治時代になって、幕府も滅びていく中で、地車の彫刻にも秀吉の出世物語や太閤記など彫刻されるようになったといいます。このように彫り物の種類から時代を感じるのも面白いと思います。
ちなみに、明治25年作の上安倉地車には豊臣側の武者、加藤清正らの勇戦が、昭和60年作の安倉南地車には真田幸村らの夏の障が彫られています。
それでは、「彫刻の種類と各部所」を次にあげておきますので、秋祭りの際に、ぜひとも地車の彫り物をじっくりと堪能してください。
【上安倉地車】
●見送り三枚板 (三枚に繋がり有り)
地車後正面=加藤清正勇戦
地車後左側=木村又蔵勇戦
地車後右側=後藤又兵衛勇戦
●脇障子 (左右に繋がり有り)
地車正面右=平敦盛
地車正面左=平敦盛を呼び戻す熊谷次郎直実
●隅障子 (左右に繋がり有り)
地車正面右=神功皇后、応神天皇平産す
地車正面左=応神天皇を抱く竹内宿補
●勾欄 (地車一周で繋がり)
富士の巻狩
●緑蔓 (地車一周で繋がり)
一の谷の合戦
●泥幕
前 (花戸口)=司馬温公のカメ割り
左二枚=源義経八艘飛
右二枚=平景清錣引き
後=那須与一 扇の的
●拝懸魚 櫛名田姫 (大屋根)
【安倉南地車】
●見送り三枚板 (三枚に繋がり有り)
地車後正面=真田幸村勇戦
地車後左側=木村重成勇戦
地車後右側=本田忠朝勇戦
●縁蔓 (地車一周で繋がり)
牡丹に唐獅子
●泥幕
前 (花戸口)=平景錣引き
左二枚=巴御前
右二枚=平敦盛を呼び戻す熊谷次郎直実
後=源義経
●拝懸魚
朱雀 ( 大屋根)